日記 #8

今日は先日の投稿で更新が止まったことについて言及すると約束したな。あれは嘘だ。

 

唐突に古のネットミームが脳に浮かびあがり指がおのずから鍵盤をたたいていた。なぜ昨日の宣言をたがえることになったかと言えば、本日は井上尚弥チャンピオンのスーパーバンタム級4団体防衛戦が行われたからである。普段は軟弱者の不名誉をほしいままにし、人が殴り合うさまなどを嬉々としてみることはない私だが、井上選手は例外である。

初めて動画サイトで井上選手のKO集を拝見したのがもう6年ほど前になるだろうか。あの時の衝撃を私は生涯忘れないだろう。幼年のころより「はじめの一歩」を観てきた私からすれば、現実のボクシングはあまりに高速で駆け引きを想像する余地も、繰り出された拳が命中したか否かを確認する動体視力もなく文字通り単純な殴り合いに見えていた。アニメで観た強者の同士の熾烈な駆け引きや、熱い心のぶつかり合いは私の目には映ることはなかった。しかし井上選手の戦いぶりはまさしく異次元であった。パンチのスピード、間合いをつめるステップ、ガードもろとも吹き飛ばす圧倒的パワー、相手のパンチを見切る動体視力、好機と悟った瞬間の獣のごとき獰猛さ、どの能力をみても別次元であることは素人目にもはっきりと理解できた。そうして調べていくうちに、血のにじむような努力でボクシングに打ち込み続けるひたむきさやそれでいて決して驕らない謙虚な姿勢など人間的部分にさえ非の打ちどころがないときたらもうお手上げである。それ以来今日に至るまで応援を続けてきた井上選手が今夜防衛戦を迎えた。先述した通り井上選手以外のボクサーをほとんど知らないので対戦相手のルイス・ネリ選手については判然としない。しかし対戦戦績をみると36戦35勝(27KO)1敗という素晴らしい戦績を納めている。詳細な試合内容に関しては各自AmazonPrimeVideoのアーカイブにて確認して頂きたいが特に印象に残っているシーンを抜粋しお話していこう。

まずは何といっても第1ラウンドである。井上選手キャリア初のダウンを奪われてしまう。ここまで井上選手の活躍を追ってきた身として、信じられないという気持ちと言いようもない不安な気持ちが頭を支配した。ダウン後は冷静だったもののゴングがなり試合が再開された後、井上選手がクリンチを使った際は思わず息をのんだ。私の記憶では井上選手がクリンチを使ったのは数年前に対戦したノニト・ドネア選手に右目をカットされた井上選手史上最も危険な試合一度きりだったはずだ。つまりダウンのダメージがかなり残っており危険な状態あることを意味していたのだろう。初の事態に井上選手がどのように立ち回るのか気が気ではなかったが、冷静に試合を立て直し2ラウンド以降いつものペースを取り戻し徐々にネリ選手をとらえ始めた。回を追うごとに私の不安は払拭されKOへの期待が高まった。そこからはワンサイドゲームだった。ネリ選手も素晴らしいタフネスで何度もパンチをもらっても反撃の手を止めず抵抗していたが、井上選手はすでに見切っているように見えた。そして6ラウンドついに井上選手の右が突き刺さりノックアウト勝利となった。開始早々のダウンにひりついたものの試合としては大勝と言える内容に胸をなでおろした。

未だ無敗のチャンピオンだがすべての人に平等に時は流れていく。これまで活躍に感謝し、1つでも多く井上選手の試合が見られることを楽しみに今後も応援していくつもりである。

それでは、また明日。